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グローバルNo.1を本気で狙う

Ryo Chikazawa
October 13th, 2021 · 1 min read

Autifyは2021年10月6日に$10MのSeries AAutify for Mobileの正式ローンチを発表しました。大変ありがたいことに日本国内外合わせて大変多くのメディアに取り上げられ、世界中から溢れんばかりのお問い合わせを頂いています。特にUS TechCrunchの記事の反響は前回を上回り想像以上でした。

今回の調達の大きな目的の一つは、グローバルマーケットにおける事業の成長加速でした。2021年の頭からUSマーケットに注力してきて、ある程度再現性のある型が見えて来たので、一気にアクセルをかけたいと考えていました。

結果として、日米クロスボーダーで投資を行うWiL、開発者向けツールをメインに投資を行うUSのUncorrelated、さらに既存投資家の支援も加わり、グローバルNo.1を獲りに行く強力な布陣を組むことができました。

なぜ狙うのか

ではなぜグローバルマーケットを狙うのか、この質問はよく聞かれます。逆になぜ狙わないのか、と思ってしまうのですが詳しく理由を説明します。

まずAutifyの狙う市場はグローバルを1つのマーケットとして捉えることができるため、大きな市場を狙わない理由がありません。なぜならば、Autifyはソフトウェア開発支援ツールのため、世界中でニーズが共通しているからです。これは僕自身、日本、シンガポール、アメリカの3カ国でエンジニアとして働いた経験から実感しました。ソフトウェアの開発現場は万国共通で同じ技術を使うため、BtoC事業のようにローカルマーケットの特性に大きく左右されず、基本的に同じ製品を近しい戦略で展開することが可能です。

さらにグローバルが一つのマーケットだからこそ、日本のマーケットで一時的に勝てたとしても、グローバルで勝てない限り、いずれグローバルプレイヤーにひっくり返される可能性が高いです。彼らの方が資金力があり製品も成熟しているので、「国産」というラベルに頼る以外の戦略がなくなってしまいます。

テスト自動化のマーケットはグローバルでもまだ圧倒的な勝者はいません。つまり、Autifyがグローバルプレイヤーとしてこのマーケットで勝つ事によって、日本でのポジションも強固なものにすることができるのです。

論理的な理由を並べましたが、こちらのNewspicksのインタビューでも話した通り、そもそも起業した当初から日本のマーケットしか取れないアイディアはやらないと決めていました。どうせ自分の人生を賭けるならば、巨大な成功に賭けたいです。「なぜやるのか」、「なぜ今か」と言った質問に対しての答えは、結局のところ「最初からやると決めていた」という覚悟でしかないです。

見えない壁

しかし、これまでグローバルを取るという目標を本気で信じてもらうことはなかなかできませんでした。もちろん、「やると決めていた」みたいな覚悟の話をしてもピンと来てもらうのは難しいでしょう。

投資家の方などから、「なぜ今グローバルなのか」、「今ではなくしっかり日本市場を取って上場してからやれば良いのではないか」、「そもそも日本だけでも良いのでは」、とよく言われてきました。

確かに投資の視点からすると、日本国外マーケットの立ち上げはコストがかかるので、短期的にはROIが低いですし、失敗事例だらけでリスクも高いので、保守的な考えになるのは分かります。マザーズに数百億円で上場できれば十分投資は回収できるので、特にリスクを冒してまで取り組む必要はないと考えるでしょう。

bitFlyer加納さんもツイートされていました。

一方この見えない壁は、無意識的にスタートアップ側にも刷り込まれているのではないでしょうか。始めから本気でグローバルマーケットを取るつもりがあるスタートアップは少ないと感じます。国内をしっかり固めてからいずれはグローバル、という会社が多いのではないかと思います。

しかしその「いずれ」が来ないケースがほとんどではないでしょうか。なぜなら上記の通り、会社が成熟してからやるにはコストがかかりすぎるため、断念する理由がいくらでも出てくるからです。本当にやる気がある場合はDay 1からそれに向けて会社の文化から何から全て作り上げる必要があるので、途中から簡単に切り替えられるものではありません。

US市場で大きな結果を出しているメルカリも、創業当初からUS拠点を立ち上げてグローバルマーケットを取る覚悟で臨んでいました。つまり、「いつかやる」ではなく「最初からやる」覚悟がなければ成し遂げられません。

グローバルスタートアップはUSでしか生まれないのか

ところで日本国外に目を向けると、US国外で創業してグローバルマーケットを取って大きく成功したスタートアップの事例は、あまり知られていないだけで実はキリがないほどあります。少しだけ例を挙げてみました。

社名創業国評価額/時価総額(2021年10月13日時点)
Zendeskデンマーク$13.24B
Algoriaフランス$2.25B
Contentfulドイツ$3B
UiPathルーマニア$24.69B
Elasticオランダ$14.66B
Skypeエストニア$8.5B
Atlassianオーストラリア$98.12B
Shopifyカナダ$169.61B

誰もが知っているような著名なスタートアップが、実はUSでの創業ではなくヨーロッパでの創業であることも多いです。実際今回の資金調達でヨーロッパの投資家とも話をしましたが、ヨーロッパからグローバルの流れを支援する投資家は多く、知見がそれなりに溜まっており明確にパスが存在していると感じました。

例えばSaaSで著名なVCである、Point Nine Capitalのポートフォリオを見てみてください。ヨーロッパで創業した後アメリカに移り、グローバルで成功を納めたスタートアップが数多く存在します。Point Nine Capital自身も拠点はドイツです。これらの会社の多くは弊社同様登記はUSとなっていることがほとんどなので、アメリカの企業として認知されており、アメリカ国外で創業されていた事実はあまり知られていないかもしれません。

なぜ日本からの事例が少ないのか

ではなぜ日本からグローバルスタートアップとなる事例が極端に少ないのか。僕個人の意見ですが、下記2点に集約されると考えています。

  1. 英語の壁が大きい
  2. 日本国内にそれなりに大きい市場が存在する

1. 英語の壁

みなさんも想像できるとは思いますが、日本のスタートアップにとって、日本国外市場進出を阻む大きな壁が英語です。グローバルマーケットを狙うにあたって英語は避けて通れません。英語の重要性は意外と軽視されていると感じていますが、英語圏のマーケットを攻める場合、メディアを通じたマーケットの情報取集、顧客とのコミュニケーション、メンバーの採用など全てにおいて英語が必要になります。

上記のリストにある会社は英語が公用語の国であったり、ヨーロッパの国々です。ヨーロッパ諸国は英語が公用語でないことも多いですが、日本語を母国語として扱う人に比べて英語を話せる人が多い印象です。僕も英語ネイティブでも帰国子女でもないので、英語の学習は苦労してきましたが、やはり日本語は、英語との言語的な距離がヨーロッパの言語に比べると非常に遠いので、日本語が母国語の人が英語をネイティブと同様に扱うにはかなりの努力を要します。

余談ですが、中国語を勉強すると日本語との言語的な近さを非常に感じます。同じ単語が沢山存在し、漢字もほとんど同じです。西洋の言語が母国語の人が英語を学ぶ感覚はこういうものなのかと感じるので、やはり日本人は英語において明らかに不利です。

しかしそうは言っても英語を見過ごすことはできません。英語の重要性についてはBurning castのこちらのエピソードでも話しました。

2. それなりに大きい日本国内市場の存在

人口の減少によって明るい未来は描きにくいかもしれませんが、今もなお日本はGDP世界第3位の経済大国です。国内に相当規模の需要が存在し、ソフトウェア化がUSなどと比べると遅れているところも多く、さらに日本語の言語と特殊な商習慣もあるため、日本国外のプレーヤーが比較的参入しにくく、競争がUSのそれに比べるとそこまで激しくありません。

そして東証マザーズはUSのマーケットと比べると比較的小さい規模でも上場できるので、M&Aが少ないという課題はあったとしても、Exitの間口は広いと言えます。そのため敢えてリスクを取って日本国外のマーケットを狙う必要性は、スタートアップ側にも生まれにくいと思います。

とは言え日本発のユニコーンが少ない事実はよく指摘されています。端的に言うと日本国内市場はそれなりに大きいのでIPOできるスタートアップは多くても、ユニコーンになるほど巨大な事業を作れるケースは少ないのです。

一方でUiPathのルーマニア、Skypeのエストニア、Atlassianのオーストラリアなどは自国内のマーケットが十分に大きくないため、創業初期からグローバルマーケットに狙いを定めるほかありません。業界は異なりますが、K-POPがグローバルで成功を収めているのも同じ理由だと考えています。

日本のスタートアップは幸か不幸か自国に相当規模のマーケットがあるため、国外に目を向ける必然性が低く、十分に大きい事業を作ることはできますが、桁の違う規模に持っていくポテンシャルを見過ごしてしまっていると言えます。

Autifyを世界に通用する巨大な事業にする

例えば開発者向けのモニタリングサービスを提供するDatadogのMarket capは2021年10月13日時点で$45.14B(約5.1兆円)です。これは日本の時価総額ランキングだと30位くらいに入る規模です。ソフトウェア開発ツールの会社が、セブン&アイ・ホールディングス(約4.2兆円)より大きな企業価値をつけています。つまりグローバルマーケットを狙えばその規模の事業が作れるのです。この事実を認識してもなお「なぜ目指すのか」「今やる必要があるのか」と疑問に思うのでしょうか。

現在のソフトウェアテスト自動化の市場は、まさにDatadogのいる一昔前のサーバーモニタリングの市場に非常に似ていると感じています。まだ圧倒的な勝者はいないが市場が急速に成長しているタイミングです。自動テストの実行環境を提供するBrowserStackが$4Bのバリュエーションをつけてユニコーン入りしたのも記憶に新しく、ここからおそらく$1Bを超えるプレイヤーがテスト自動化の領域で今後続々出てくるはずです。我々はその一社になろうとしています。

それを実現するために初期から様々な意思決定や施策を行なってきました。一部を簡単にご紹介します。

日本市場は最初の注力市場としての位置付け

グローバルマーケットを狙うことは最初から決めていましたが、地の利がある日本市場を最初の注力マーケットとして位置付けて、顧客基盤が固まり製品がある程度成熟したタイミングでグローバルマーケットに注力する戦略でした。

ただ日本が初期の注力市場とは言え、グローバルマーケットを狙うには最初からそれを念頭に置かなければいけません。ですので、初期から日本国外の顧客も少ないものの付いていましたし、僕が日本国外の営業担当として直接見込み顧客と数多く会話を重ねてきて、どうすれば競合に勝てるのかAutifyのポジショニングを徐々に明確にしてきました。

他にも例えば、英語を主言語とする意志の現れとして、autify.comは英語でautify.com/jaを日本語にしており、プロダクトの言語も日英両方初期から用意していました。

早期に社内の公用語を英語化

また、最初から社内の公用語は英語にするつもりで、採用も日本人に閉じずに進めてきて、8人目に外国籍のメンバーが入ってから、完全に公用語を英語に切り替えました。全員日本人で日本語のみを話す会社が、グローバルマーケットを取れるとはどうしても思えません。様々なバックグラウンドを持つメンバーが同じゴールに向かって多様な価値観の元に議論を行い、グローバルマーケットの主言語となる英語を全員が理解する文化を作り上げる必要があると考えています。

今では日本語を母国語としないメンバーが全体の1/3になり(2021年10月13日時点)、この割合は今後なお増えて行きます。

まだ何も成し遂げていない

ここまで読んでいただくとあたかも順風満帆に進んでいるように見えてしまっているかもしれませんが、もし日本人だけのチームになってしまったら、もしUSで顧客が増えなかったら、グローバル化はいとも簡単に途中で頓挫してしまうだろうとずっと不安に思っていました。それがようやく何とか一つ一つ形になってきて、Autify社内のメンバーでグローバルNo.1を目指す事に疑問を持つ人は今や誰一人いないと言える状況になりました。

Series Aの調達は我々にとってはようやく走り始められるスタート地点に立てた感覚でしかなく、まだ何も成し遂げられていません。これから確実にT2D3の成長を実現し、$100MのARRを突破してユニコーン入りを果たし、Datadogのように2桁Billionの規模にしていかなければいけません。

日本からそれを成し遂げたスタートアップはまだいません。レールの敷かれていない道を走るのは、もちろん不安も沢山ありますし、答えが分からず立ち止まって悩むことも多いです。しかし今後日本のスタートアップが当たり前のようにグローバルマーケットを狙えるような、成功事例の一つにならなければいけないという使命感も感じています。

このように大きな目標を実現するために素晴らしいメンバーが集まってきましたが、まだまだ足りていません。会社の成長には一緒に走っていける同志が不可欠です。共感いただいた方は是非弊社のCareersページからお気軽にご応募ください。該当の職種がなくても、もしテストに困っていたら是非Autifyのご活用をご検討頂けたら嬉しいです。そして、この記事をシェアして頂いたり我々の挑戦を応援していただけるだけでもとても大きな励みになります。

歴史を一緒に作り上げましょう。


今回の資金調達の新規投資家であるWiLの久保田 雅也氏と、Uncorrelated VenturesのSalil Deshpande氏をお招きして、Series A資金調達舞台裏についてのトークセッションを10月14日に開催します。

投資家の視点からAutifyやこの市場をどう見ているのか、どのようにして今回の資金調達のパートナーシップが実現したのかなど、他では聞けない話が色々と飛び出す予定です。 お時間のご都合が合う方は是非こちらからご参加登録いただけると嬉しいです。

The story behind Autify's Series A

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